ツェツェバエは主にアフリカに分布している昆虫のハエです。
見た目は日本にいるハエとそこまで違いはありません。
しかし、ツェツェバエはアフリカで恐れられている昆虫の一つです。
ツェツェバエは哺乳類や鳥類から吸血し、その血液を栄養源として生きています。
カやアブなどは産卵のため雌のみ吸血しますが、ツェツェバエは雄雌ともに血液を吸血します。
では、なぜツェツェバエは恐れらているのでしょうか?
その理由は、アフリカ睡眠病にあります。ツェツェバエに吸血されてしまうと、睡眠病に感染する可能性があるからです。
恐怖のアフリカ睡眠病
アフリカ睡眠病は催眠病、眠り病、アフリカトリパノソーマ症などとも呼ばれている感染症です。
ツェツェバエは、アフリカ睡眠病の病原体となるトリパノソーマの仲介種です。
アフリカ睡眠病に感染してしまうと
第1期
初期症状は発熱・頭痛・関節痛
リンパ筋が大きく腫れ上が
そのまま治療せず放置していると次第に症状が悪化してきます。
第2期
・睡眠周期が乱れ始める
・昼夜が逆転するようになる
・やがて意識がもうろうと
・昏睡状態になる
・最後には眠ったように死んでしまう・・
第2期まで進行してしまうと、たとえ治療できたとしても後遺症が残ってしまいます。
この進行した時の症状から、アフリカ睡眠病と名づけられました。
ウガンダやケニアでは風土病になっていて、現在でも年間4万人がツェツェバエが仲介したアフリカ睡眠病で死亡していると言われています。
予防
アフリカ睡眠病には効果的なワクチンはありません。
その理由は、感染症の元となるトリパノソーマには免疫系からの検知を逃れるための800を超える遺伝子が存在していることがDNA解析で明らかになりました。
感染を予防する方法は、ツェツェバエから身を守る事が先決になります。虫除けスプレーをする、吸血されないように露出の少ない衣服を着る、などが効果的といわれています。